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夫婦間の誓約の公正証書


夫婦間の誓約の公正証書

夫婦間で取り交わす、夫婦間合意契約に関しては、大きく分けて、以下の2種類があります。


  • そのまま生活を継続することを前提に、今後の誓約を文書として具体化するもの
  • 別居を前提に、婚姻費用や養育費などの扶養費、および、親権や面会交流権についての取り決めを文書化するもの


夫婦間の誓約に関する公正証書とは、上記のうち、前者のものをいいます。


夫婦間において、浮気やDV、借金、など、重大な問題が生じ、でも離婚はしないという場合、修復を目的として、誓約や取り決めを行うことがあります。
このような場合、口約束では無く、きちんと書面にして残しておく、もしくは、きちんと形に表して姿勢を伝える、ということが必要な場面が生じることも多くあると思います。


●今後二度と行わないことの約束
●夫婦間の改善や防止・対策事項
●違反した場合のペナルティ

などなど、一定の事項を取り決め、あとで解釈の食い違いや不要な誤解が生じることが無いよう、公文書として残しておくことは、とても効果的です。

また、夫婦間のトラブルの大半は、その生じた事項では無く、それ以前のコミュニケーションや相手への理解・配慮の不足・欠落に起因することが大半です。
そのため、折角の機会ですので、可能であれば、お互いの誤解やすれ違いを回避するために、家事の分担や禁句、相互の趣味やプライベートの領域確保、および夫婦時間の確保、将来の扶養や相続などに関する問題などについても、きちんと話し合って定めておけると良いかと思います。


夫婦間の契約について

民法上、夫婦間で取り交わした契約は、婚姻期間中、原則として、いつでも、どちらか一方から、これを取り消すことが出来ると定められております。



民法第754条
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消す事ができる。
ただし、第三者の権利を害する事ができない。


しかしながら、上記の条文の本来の趣旨というのは、「法は家庭に入らず」という法格言に基づき、「夫婦関係に契約は馴染まない」という、「健全で良好な夫婦関係」を前提としております。
そのため、最高裁の判例においても、この民法754条の「夫婦間」を極めて厳格に解釈しており、実質的に夫婦関係が破綻に瀕した後に結んだ契約の取り消しを認めておりません。
また、夫婦関係が円満なときに結んだ契約であっても、夫婦関係が実質的に破綻に瀕した場合にも、契約を取り消すことが出来ないとしております。



昭和33年3月6日 最高裁 判決
夫婦関係が、破綻に瀕しているような場合になされた夫婦間の贈与はこれを取り消しえないと解すべきである。



昭和42年2月2日 最高裁 判決
夫婦間の贈与契約の取消について考えるに、民法754条にいう「婚姻中」とは、単に形式的に婚姻が継続しているだけではなく、実質的にもそれが継続していることをいうものと解すべきであるから、婚姻が実質的に破綻している場合には、それが形式的に継続しているとしても同条の規定により、夫婦間の契約を取り消すことは許されないものと解するのが相当である。


原則として、夫婦間における合意・契約などの「身分行為」に、条件や期限は、なじまないとされています。
また、金額や支払期限が確定している債務で無いことから、公正証書による強制執行を行うことが出来ません。
そして、夫婦間の契約というものは、民法の条文上は「いつでも取り消すことが出来る」とされていることから、必ずしも、将来的に有効性が確実な文書とはなりえません。
裁判例においては、夫婦間が破綻に瀕した状態でなされた契約や、円満時の契約であっても事実上の破綻に発展した以降については、取り消すことを認めないとされていますが、破綻していたのかどうかというのは、予め当事者の合意によって決められるものではなく、実質的な事情経緯から裁判所が判断すべき事項です。
そのため、夫婦間の誓約に関する公正証書というものは、無効ではありませんが、取り消しの余地がある不安定な性質をもつ契約であるため、公証人から作成すること自体を拒否される場合が多く、作成することについて、極めて難易度が高い書類であると言えます。

もっとも、このような契約については、「公正証書」に代替する方法として、「私署証書の認証」および「宣誓認証」という手続きがあります。




私署証書の認証

「私署証書の認証」とは、契約書などの私的な文書について、公証人が、その該当文書の署名押印又は記名押印の真正を証明するという制度です。
公証人が認証することにより、当該文書が、当事者の意思に基づいて真正に成立し、作成されたものであること、および、認証時点で確かに存在していたことを証明することが出来る、重要な証拠となります。




宣誓認証制度

夫婦間の誓約公正証書に近いものとして、宣誓認証制度というものを利用する方法もあります。

宣誓認証制度とは、公証人が私署証書(作成者の署名、署名押印又は記名押印のある私文書のこと)に認証を与える場合において、当事者がその面前で証書の記載が真実であることを宣誓した上、証書に署名若しくは押印し、又は証書の署名若しくは押印を自認したときは、その旨を記載して認証する制度です(公証人法58条ノ2)。
宣誓認証を受けた文書を宣誓供述書といいます。
公証人が、私文書について、作成の真正を認証するとともに、制裁の裏付けのある宣誓によって、その記載内容が真実、正確であることを作成者が表明した事実をも公証するものです。

どのような内容の宣誓をしたかと、その宣誓をした事実を証する制度です。
宣誓した内容の真実性や正確性を証するわけではありませんが、信頼性があり、証拠能力が高いですから、将来的な紛争の予防にも大きな効果が期待出来ます。

例えば、不倫や借金の発覚、DVなどの事実があり、反省してやり直したいという申し出がある場合など、その「約束」の実効性を担保するために、具体的な内容を取り決め、違反した場合の罰則や離婚の同意、および具体的な離婚協議内容、などについて公証人の面前で宣誓し、署名捺印を行う、等による将来的な問題発生の予防を図る、という活用方法になります。