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保証意思宣明公正証書


保証意思宣明公正証書

金銭 民法改正により、令和2年4月1以降に締結される事業用融資の保証契約については、その締結日の前1か月以内に、あらかじめ保証意思宣明公正証書を作成しなければ、効力を生じないとする規定が新設されました。 この保証意思宣明公正証書は、令和2年3月1日から作成することが可能です。

従前、保証人になろうとする者が、保証人になることの意味やそのリスク、具体的な主債務の内容等について十分に理解しないまま、情義に基づいて保証契約を締結してしまい、その結果として生活の破綻に追い込まれるというようなことがあると指摘されていたことから新設された規定です。

事業用の融資、貸金や売掛などの債務の弁済、などを主債務とする保証契約または根保証契約を締結する場合、その契約の前1ヶ月以内に「保証意思宣明公正証書」を作成しなければ、その保証契約・根保証契約は効力を生じません。

「保証意思宣明公正証書」の作成においては、保証予定者本人が出頭しなければならず、代理人による嘱託はできません。
また、主債務者や債権者は同席することが出来ません。

保証予定者は、公証人に対し、主たる債務の内容等、法定された事項(民法465条の6第2項1号)を述べる(口授する。)ことによって、保証意思を宣明します。

公証人は、保証予定者が、主たる債務の具体的な内容を理解しているか、また、保証契約を締結した場合、主たる債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることなど保証人になることのリスクを理解しているかどうかを確認するなどして、保証意思を確認します。


■作成が必須となるケース

  1. 事業のために負担した貸金等債務(金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務)を主たる債務とする保証契約を締結する場合
  2. 主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約を締結する場合
  3. 上記各契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約の場合

■作成が必須ではない(任意)ケース

  1. 会社等の法人が保証人になろうとする場合
  2. 主たる債務者が法人である場合のその法人の理事・取締役等又は総株主の議決権の過半数を有する者であるとき
  3. 主たる債務者が個人である場合の共同事業者又は主たる債務者が行う事業に現に従事しているその配偶者などが保証人になろうとする者であるとき

■作成にかかる必要書類

保証人になろうとする者は、保証意思宣明公正証書の作成前に、公証人から指示された資料を提出する必要があります。

  1. 主たる債務に関する金銭消費貸借契約書や保証契約書等の原契約書
  2. 保証意思宣明書
  3. 主たる債務者の財産収支債務等情報提供書

■作成にかかる費用

保証意思宣明公正証書の作成に関する公証人手数料は、保証債務の金額には関係なく、保証契約ごとに,原則として1件1万1000円となります。

文面の作成や出頭の同行などを行政書士や弁護士に依頼する場合、別途の報酬がかかります。
※3万円から10万円程度


■主債務者の情報提供義務

主たる債務者は、保証人になろうとする者に対し、以下の情報を提供しなければなりません。

  1. 財産及び収支の状況
  2. 主たる債務以外の債務の有無、その額と履行状況
  3. 不動産等、主たる債務の担保としてほかに提供するものがあるときはその旨及びその内容に関する情報

主たる債務者がこれらの情報を正しく提供しなかったために保証人になろうとする者が事実を誤認し、債権者もそれを知り、又は知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができます。




(公正証書の作成と保証の効力)
第465条の6
事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
2 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
 イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。)
   主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
 ロ 根保証契約
   主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第465条の4第1項各号若しくは第2項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
二 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
三 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
四 公証人が、その証書は前3号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
3 前2項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。
(保証に係る公正証書の方式の特則)
第465条の7
前条第1項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとする者が口がきけない者である場合には、公証人の前で、同条第2項第1号イ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、同号の口授に代えなければならない。
この場合における同項第2号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2 前条第1項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとする者が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第2項第2号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により保証人になろうとする者に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3 公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
(公正証書の作成と求償権についての保証の効力)
第465条の8 第465条の6第1項及び第2項並びに前条の規定は、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約について準用する。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。
2 前項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。
(公正証書の作成と保証の効力に関する規定の適用除外)
第465条の9 前3条の規定は、保証人になろうとする者が次に掲げる者である保証契約については、適用しない。
一 主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者
二 主たる債務者が法人である場合の次に掲げる者
 イ 主たる債務者の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除く。以下この号において同じ。)の過半数を有する者
 ロ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
 ハ  主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社及び当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
 ニ 株式会社以外の法人が主たる債務者である場合におけるイ、ロ又はハに掲げる者に準ずる者
三 主たる債務者(法人であるものを除く。以下この号において同じ。)と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者
(契約締結時の情報の提供義務)
第465条の10
主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
2 主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。
3 前2項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。