公正証書

強制執行手続き


強制執行手続き

公正証書の文中に「強制執行認諾条項」を定めてある場合、確定している金銭債務については、裁判による確定判決などの「債務名義」無くして、直ちに強制執行の申立てを行うことが可能です。

金銭債務でないもの(不動産の所有権移転や抵当権抹消登記、自動車の登録変更、および離婚や面会交流、その他)、および、金銭債務であっても、作成時に金額と弁済期が確定していないもの(条件付債務や違約金など、発生の有無や弁済期が不確定なもの)等については、公正証書による強制執行をすることは出来ません。

もちろん、契約の成立を証する文書として「証拠」にはなりますので、別途、裁判で判決を受け、強制執行の申立をするという方法を取ることは可能です。


強制執行(差押え)の種類

強制執行(差押え)には、主要なものとして、次の3種類の方法があります。

<1>債権 銀行が預かっている預金や勤務先が支払う給与など、債務者が有している権利
<2>動産 不動産以外の換価価値のある物品(電化製品や貴金属、骨董品、など)
<3>不動産土地・建物

強制執行に際して必要なもの


債務名義…判決正本や強制執行認諾条項付の公正証書正本など
送達証明書…謄本が債務者に送達されたことの証明書


債務名義とは
債務名義とは、請求権の存在、範囲、債権者、債務者などが表示された公的文書のことであり、以下のようなものをいいます。

  • 強制執行認諾条項付公正証書正本
  • 確定判決の正本
  • 仮執行宣言付判決正本
  • 仮執行宣言付支払督促正本
  • 和解証書正本
  • 調停調書正本

送達証明書

送達証明書とは

強制執行の申立てを開始するにあたっては、予め、その債務名義正本等が債務者に送達され、すくなくとも債務者が内容を知り得る状態にしておく必要があります。
(民事執行法29条前段、民事執行規則20条)

そのために必要な手続きが「送達申請」ということになります。

公正証書に関する送達申請は、公正証書の原本が保管されている公証役場で手続きを行います。



■送達方法の種類

「郵便による送達」
通常、公正証書の成後、公証人が「特別送達」により公正証書の「謄本」を債務者等へ発送手配するという方法により行われます。
「特別送達」というのは、一般的な「書留郵便」と同様な郵便局の配達員による手渡し配達です。
無事に受領されると、公証役場から送達証明書を交付してもらうことが出来ます。

「書留郵便に付する送達」
特別送達は、書留郵便と同様、配達員による手渡し配達であるため、不在時には「不在票」が投函され、受取人からの再配達の依頼が無いと配達されずに返送されてしまい、証明書をもらうことが出来ません。
再送達の手続きによっても受け取りをしてもらえない場合、「書留郵便に付する送達」といって、公証役場による嘱託で書留郵便による送達を行い、受け取りしなくても送達したことにみなしてもらう方法があります。

「公証人による交付送達」
「公証人による交付送達」という制度があり、公正証書の作成時に債務者が出頭する場合で、その作成の際に送達申請をした場合に限り、公証人が債権者の面前で債務者に謄本を手渡しすることにより、その場で送達が完了したものとみなされ、送達証明書を貰うことが出来ます。
ただし、交付送達が可能なのは、あくまで公正証書作成時のみです。
作成完了後は、仮に当日に債権者・債務者双方が出頭したとしても、交付送達を行うことが出来ません。



■送達申請の費用
公証役場における送達申請にかかる費用は、以下のとおりです。
送達手数料 1,400円(公証人手数料令39条)
謄本代   2,000円~3,000円(枚数により異なります)
送料実費  1,130円~1,500円程度(重量により異なります)
送達証明書 250円(公証人手数料令39条3項)



■送達申請の必要書類

・本人確認書類
  印鑑登録証明書(3か月以内)と実印、又は自動車運転免許証と認印、若しくは顔写真付き住民基本台帳カードと認印
・相手方の住所が公正証書作成時と変更していた場合、新しい住所の住民票または商業登記簿謄本
・相手方の名前(苗字)公正証書作成時と変更していた場合、新しい戸籍謄本
・公正証書正本


執行文の付与

執行文の付与

執行文とは、債務名義(判決正本や強制執行認諾条項付き公正証書など)の正本に、「この証書に基づき執行することが出来る」という趣旨が記載され、裁判所書記官や公証人による署名捺印がなされた文書のことをいいます。

強制執行の申立をするためには、公正証書に記載された内容について、強制執行することが可能な債務であることが必要です。
公正証書における「執行文の付与」とは、強制執行することが出来る証書であることを記載した文書に公証人が署名し、公正証書の正本に付け加えてもらう手続のことです。

執行文の付与とは、判決や公正証書の正本の末尾に、執行文を綴じてもらう手続きのことです。

原則として、債務名義には、執行文が付与されていなければなりません。
※仮執行宣言付支払督促正本や少額訴訟の判決正本など、例外として不要な場合がありますが、公正証書の場合は、かならず必要です。


■執行文付与の費用
公証役場における執行文付与に係る費用は、以下のとおりです。
手数料1,700円(公証人手数料令38条)


■執行文付与の必要書類
・本人確認書類
  印鑑登録証明書(3か月以内)と実印、又は自動車運転免許証と認印、若しくは顔写真付き住民基本台帳カードと認印
・相手方の住所が公正証書作成時と変更していた場合、新しい住所の住民票または商業登記簿謄本
・相手方の名前(苗字)公正証書作成時と変更していた場合、新しい戸籍謄本
・公正証書正本
・公正証書謄本等送達証明申請書


承継執行文

当該債務者の死亡により、債務者が相続人等の別の人に変更となることがあります。
また、法人の商号変更や合併などにより、債務者の名称が違うものになる場合もあります。
もしくは、債権譲渡により、債権者が別の個人や法人に変更となる場合もあります。

そのような場合、「承継執行文の付与」という手続きになります。

■承継執行文付与の必要書類
「承継執行文付与」の場合、上記の「執行文付与」の必要書類の他、以下の書類が必要となります。

●相続の場合 ⇒ 原債務者の除籍謄本(戸籍謄本)、相続人の住民票
●法人の合併・分割・商号変更 ⇒ 法人の商業登記簿謄本。除籍謄本
●債権者の変更 ⇒ 債権譲渡通知書(内容証明書謄本・配達証明書)、本人確認書類


相続や承継によって新たに債務者となった方へも、新たに「承継執行文」の送達申請をして「送達証明書」を取得する必要があります。

※もしも公証人に承継の事実を証明できない場合には、別途、債務者の住所地を管轄する裁判所に対して執行文付与の訴えを提起し、判決の正本と確定証明書を公証人に提出しなければなりません。


債権差押命令申立に必要となる書類

債権差押命令申立の申立てにあたっては、以下の書類が必要となります。


●債権差押命令申立書
 当事者目録、請求債権目録、差押債権目録
●執行力のある債務名義正本
●債務名義の送達証明書

当事者が法人の場合は、法人の資格証明書
当事者の現住所が債務名義の記載と異なっている場合には住民票、等
債権譲渡や氏名の変更などがある場合には、承継執行文
その他


強制執行の申立ては、債務者の所在地を管轄する地方裁判所に行ないます。


債権差押命令申立にかかる費用

債権者・債務者・第三債務者とも1名のみで、債務名義1通の場合
申立手数料 4000円(収入印紙により、申立書に貼付)
郵便切手 2820円分


※ 注意事項 ※

強制執行などの地方裁判所における手続きに関しましては、すべて弁護士の独占業務範囲となります。
また、裁判所に提出する書類の作成や相談については、弁護士または司法書士の独占業務範囲です。
そのため、当事務所では、強制執行に関する相談や書類作成などについては対応しておりませんので、ご了承下さい。