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準婚姻関係公正証書


準婚姻関係公正証書

準婚姻関係公正証書とは、結婚した夫婦のような保護やメリットを享受するため、または、将来の共同生活における取決め内容を、トラブルの予防を目的として作成する「公文書」のことをいいます。

主に、同性婚や事実婚などの場合に用いられます。

・同居・協力義務、貞操義務、生活費を分担する義務、財産の分配、子供の監護養育、等について定めることによって、法律上の夫婦と同等の効果を生じさせることが出来ます。
・一方が不慮の怪我や病気になり、入院や手術を要する事態になった場合に、面会したり身の回りの世話をしたり、病状や治療の方針について医師や看護師から説明を受けるなそ、法律上の夫婦と同等の権利や義務を持つことが出来ます。
・住宅購入にあたって双方一緒に住宅ローン(ペアローン、収入合算)を組むことが出来ます。
・居住されている市町村や都道府県において条例の定めがある場合には、届出をすることによって、不利益や不都合を回避したり公的な支援を受けたりすることが出来ます。


事実婚とは

事実婚とは、実質的には夫婦関係であるが、戸籍法上の「婚姻届」を役所に提出してないカップルのことをいいます。
事実婚の要件としては「お互いに夫婦であると認識している」「共同生活を送っている」「社会的に夫婦と認められている」という3つを満たしているものであり、単なる同棲とは意味が違うものになります。
法律婚のような戸籍法上の届出がないため、一般的な「同棲・同居」と違うことを客観的に証明することが難しいという問題があります。
また、口約束だけでは、いつ気持ちが変わるかもわかりませんし、発言の正確な趣旨や意図の解釈の違いが生じるおそれもあり、非常に不安定な状態となります。
そのため、公正証書として作成することで、事実婚(内縁関係)であることを証明する資料とすることが出来、取り決め内容を明確にしておくことが出来ます。
怪我や病気で入院や手術を行う場合の同意や立会い、面会、などは、親族が優先されたり親族のみに限定されてしまうことがありますので、それらの同意を相手に与えたことの疎明資料として利用することが出来ます。
会社から家族手当や育児休暇・慶弔休暇など、配偶者としての福利厚生を受ける場合、住宅ローンを借入れる際の収入合算やペアローンを組む場合、などなど、事実婚であることを証明する資料の提出を求められることがあります。
子どもが生まれた場合、認知をしても親権は生じませんので、保育園の送り迎えや習い事の契約その他、子の監護養育について定めておくことで同等の対応をすることが出来るようになります。
関係を解消する場合においても、事実婚(内縁関係)の場合は、戸籍法上の離婚届出がないため、事実婚の解消が明らかにすることが難しいという問題もありますので、具体的な関係解消の条件や方法についても明らかにしておくことも大切です。
その他、不倫があったときの慰謝料、関係解消後の財産分与、などなど、出来る限り法律上の夫婦と同等の権利義務を得られ、同等の手続きや対応を行えるようにするというメリットがあります。


事実婚における準婚姻契約書の文例・雛形

準婚姻契約書の文例・雛形



LGBTQ+とは

LGBTQ+とは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、QueerやQuestioning(クイアやクエスチョニング:特定の枠に属さない人、わからない人等)の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称のひとつとして使われています。

外部からの定義である「セクシュアル・マイノリティ(性的マイノリティ)」とは違い、自らを呼ぶ言葉として、自発的に選定された用語です。


欧米諸国とは違い、日本国内では、LGBTQ+当事者間におけるパートナー契約や同性婚に関する法律はありませんし、憲法の改正(「両性の合意」)が必要となるので、極めて実現が困難な状況です。

男女間のカップルであれば、結婚(婚姻)することによって、配偶者扶養控除や年金受給、財産分与、相続権など、実に多様な形で、法的な保護や恩恵が享受できますし、相続税などの税法上も優遇されています。
一方、同性間カップルにおいては、そのような保護やメリットは何もありません。

それどころか、賃貸住宅の家族向け物件に入居することも難しく、住宅購入においてローンを共同名義で組むことすら断られる可能性が高く、仮に一方が不慮の病気や怪我などに見舞われた場合に面会や介護、インフォームド・コンセント(医師からの医療説明も受けたり治療へ同意を行うこと)等も期待出来ませんし、相続権もありません。


準婚姻関係契約公正証書(パートナーシップ合意契約公正証書)

同性間カップルにおいては、「結婚」の代替策として、養子縁組を利用することが、多くあります。
成人していれば、当人同士の意思のみで行うことが可能ですが、必ず年長者が養親になる(養親側の姓になる)という制限はあるものの、戸籍上、同じ苗字を名乗る家族となることが出来、一定の相続権が得られるなどのメリットがあります。
また、生命保険の受取人に指定することができたり、携帯電話の家族割引が利用できるなどのメリットもあります。

もっとも、それでも、「結婚」に比べたら、法的な保護やメリットは足りませんし、男女間の結婚のような心理的充足を得ることは出来ません。

そのような不備・不足を補強し、共同生活において生じるトラブルを事前に予防するための契約書が、「準婚姻関係契約」=「パートナーシップ合意契約契約公正証書」です。

2022年6月現在、全国では、200を超える地方自治体でパートナーシップ条例が施行され、人口カバー率は50%を超えました。
戸籍上の届出をしている夫婦と同等の生活や地位を保証するためのもので、「任意後見契約」や「パートナーシップ契約」の公正証書を作成することによって、その実効性を担保することが出来ます。

さらに、死後の不安や財産上の心配を解消するために、「遺言公正証書」や「死後事務委任契約公正証書」を併用することも可能です。

遺言のメリット
「遺贈」として定めておくことで、通常の贈与税とは違い、税率の低い相続税の適用を受けることが可能です。
「祭祀承継者」として、死後の葬儀主宰や遺体遺骨の管理などに指定しておくことも可能です。


任意後見契約のメリット

後見人として、将来、身体が不自由になったり、判断能力が衰えた場合に、本人に代わって財産管理や身の回りの世話、施設入所や病院入院などの手続きを行う権限が得られます。


準婚姻関係契約(パートナーシップ合意契約)公正証書に定める内容

準婚姻関係契約公正証書においては、結婚に準じた内容として、同居義務や努力義務、貞操義務などの他、結婚契約書のように、共同生活における一定の取り決めを定めておくことが出来るほか、財産管理や、医療現場におけるインフォームド・コンセント権限の付与、など、多岐に渡って取り決めを行うことが可能です。

ただし、公証人によっては「同性婚」は法律上は認められていないとして、一部の記載内容に関して一定の制限・制約や、記載する表現の変更を求められる場合もあります。

また、法律上の優遇措置(税金の配偶者控除や健康保険・厚生年金などにおける優遇)は、受けることが出来ません。


パートナーシップ合意契約書の文例・雛形

パートナーシップ合意契約書の文例・雛形




パートナーシップ制度が施行されている自治体

※2022年6月現在


都道府県

青森県・秋田県・茨城県・群馬県・三重県・大阪府・福岡県・佐賀県

市町村

(北海道)札幌市、函館市、北見市、江別市
(青森県)弘前市
(秋田県)秋田市
(栃木県)栃木市、鹿沼市、日光市、野木町
(群馬県)渋川市、安中市、千代田町、大泉町、吉岡町
(埼玉県)さいたま市・川越市・熊谷市・行田市・所沢市・飯能市・本庄市・東松山市・狭山市・鴻巣市・深谷市・上尾市・草加市・越谷市・入間市・桶川市・久喜市・北本市・八潮市・富士見市・坂戸市・日高市・吉川市・ふじみ野市・伊奈町・三芳町・毛呂山町・川島町・吉見町・鳩山町・ときがわ町・横瀬町・美里町・神川町・上里町・宮代町
(千葉県)市川市・船橋市・松戸市・浦安市・習志野市
(東京都)港区・文京区・世田谷区・渋谷区・中野区・豊島区・北区・足立区・江戸川区・荒川区・武蔵野市・府中市・小金井市・国分寺市・国立市・多摩市
(神奈川県)横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・平塚市・鎌倉市・藤沢市・小田原市・茅ケ崎市・逗子市・三浦市・厚木市・大和市・海老名市・南足柄市・綾瀬市・葉山町・寒川町・大磯町・二宮町・中井町・大井町・松田町・山北町・開成町・愛川町
(新潟県)新潟市
(石川県)金沢市・白山市
(山梨県)甲州市
(長野県)松本市・駒ケ根市
(岐阜県)関市
(静岡県)静岡市・浜松市・富士市・湖西市
(愛知県)豊橋市・岡崎市・豊田市・西尾市・蒲郡市・新城市・高浜市・豊明市・田原市・春日井市・豊川市
(三重県)いなべ市・伊賀市
(滋賀県)彦根市
(京都府)京都市・福知山市・亀岡市・向日市・長岡京市
(大阪府)大阪市・堺市・貝塚市・枚方市・富田林市・大東市・交野市・茨木市
(兵庫県)姫路市・尼崎市・明石市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市・川西市・三田市・たつの市・猪名川町
(奈良県)奈良市・大和郡山市・天理市・生駒市
(鳥取県)境港市
(岡山県)岡山市・倉敷市・笠岡市・総社市・備前市・真庭市
(広島県)広島市・三原市・廿日市・安芸高田市・府中町
(山口県)宇部市
(徳島県)徳島市・阿南市・吉野川市・美馬市・三好市・鳴門市・那賀町・北島町
(香川県)高松市・善通寺市・観音寺市・さぬき市・東かがわ市・三豊市・坂出市・土庄町・小豆島町・宇多津町・綾川町・琴平町・多度津町・まんのう町
(高知県)高知市・土佐清水市
(福岡県)北九州市・福岡市・古賀市・福津市・粕屋町
(佐賀県)唐津市・上峰町
(長崎県)長崎市
(熊本県)熊本市・大津町
(大分県)臼杵市・竹田市・豊後大野市
(宮崎県)宮崎市・延岡市・日南市・西都市・えびの市・日向市・新富町・木城町・門川町
(鹿児島県)鹿児島市・指宿市
(沖縄県)那覇市