TOP > 公正証書の作成方法
公正証書の作成場所は、原則として、公証役場になります。
ただし、遺言公正証書においては、遺言者本人が来所できない場合には、公証人が自宅や病院へ出張することも可能です。
当事者間で作成した契約書などの文書に公証人から印鑑をもらうというイメージで誤解されていらっしゃる方がいますが、そのような私文書への公証人の押印については、認証という、別の手続きになります。
公正証書は、あくまで公証人が作成する公文書です。
契約その他の、文書に定めたい法律行為の内容を元に、予め案文を作成して公証人に示して説明し、具体的な条項の記載などを協議決定します。
その後、必要書類をすべて取り揃え、当事者全員と公証人の都合を確認して作成日時を決定し、当事者(または代理人、証人)立会いの下で作成手続きを行う、という流れになります。
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公正証書の作成が完了すると、原本は公証役場に保管され、当事者には、正本または謄本が交付されます。
この正本・謄本は、役所などに提出する必要はありませんが、強制執行の申立など、法的な手続きにおいて必要となる重要な書類ですので、紛失などされないよう、大切に保管なさって下さい。
公正証書の作成において必要となる資料は、その作成する文面内容によって異なります。
基本的なものとしては、以下のようなものがあります。
当事者全員の、本人であることを証明出来る身分証明書
⇒印鑑証明書と実印、運転免許証、など。
・離婚や養育費に関する公正証書の場合
⇒戸籍謄本
・遺言公正証書の場合
⇒受遺者(遺産を受け取る方)の住民票
・不動産の所有権移転や担保設定などに関する定めをする場合
⇒不動産登記簿謄本と固定資産税評価証明書
・車や保険の名義変更や譲渡に関する定めをする場合
⇒車検証や保険証券
当事者が法人である場合
⇒法人の実印と印鑑証明書、および、商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、法人の実印
当事者が未成年である場合
⇒法定代理人(親権者など)の同意書、実印と印鑑証明書
※登記簿謄本や印鑑証明書は、すべて、作成時において発行日から3ヶ月以内のものが必要です。
・公証人手数料
公証人の手数料は、文面に定める内容やその金額・価格に応じて、
「公証人手数料令」という政令により定められています。
・謄本取得費
当事者へ交付される謄本(正本を含む)の証書代が、枚数に応じて
定められています。
・送達手数料
契約関係の公正証書の場合、債務者宛の謄本は、公証人の嘱託によ
り、特別送達という方法によって送達されます。
・収入印紙代
金銭消費貸借契約や債務弁済契約、売買契約などの場合、目的物の
価格に応じて、所定の印紙税(収入印紙代)が必要になります。
その他、定める文書の内容によっては、別途に必要書類が生じます。
公正証書は公文書になりますので、完成した「原本」は、当事者(又は代理人)と公証人が署名捺印し、印紙添付の上、公証役場で厳重に保管されます。
当事者ご本人に交付される「謄本」は、原本と同一内容が記載された写しですので、そのまま、署名捺印や印紙添付などせずに保管されて下さい。
謄本のうち、債権者に交付されるものを、特に「正本」といいます。
謄本については、万が一紛失などした場合には、公証役場で再交付を受けることができます。
公正証書の「正本」と「送達証明書」は、将来的に差押などの強制執行を申立する際に必要な書類です。
強制執行をする場合には、公正証書を作成した公証役場において、公正証書正本に「執行文」を付与してもらい、執行裁判所で申立手続きをすることになります。