TOP > 結婚契約(婚前契約)公正証書
結婚そのものは、両性の意思の合意さえあれば、婚姻届を提出するだけで成立しますので、当然ですが、契約書は不要です。
もちろん、晴れの門出であり、信頼している間柄だから、わざわざ堅苦しい契約書を作成するなんて考えられない、とおっしゃる方も沢山いると思います。
また、結婚後の取決めに関する契約書など、海外のセレブしか思い浮かばない、無縁なことだとお考えになるかも知れません。
それでも、結婚すると、2人だけの新しい生活が始まり、一から家族を作っていくことになるのです。
当然、結婚後は、様々な不安や疑問を抱えることになったとしても、「夫婦でよく話し合いなさい」なんて言われることが大半です。
保険に入るのに、ケガや病気に気を付けてさえいれば良いということは答えになりません。
どんなに気を付けていても、不慮の怪我や病気に見舞われることはあります。
夫婦だって同じです。
結婚前は「夢」かも知れませんが、結婚後は「現実」が押し寄せます。
結婚するときは気分が高揚し、幸せな未来に胸をときめかせていますから、誰だって、結婚後に生じるトラブルのことなど、縁起が悪いことは考えたくなどありません。
しかし、いざ現実の結婚生活が始まると、育った環境や価値観の違う2人が共同生活を始める訳ですし、当然、想定外の出来事が次から次へ起こることの方が普通であり、決して、順風満帆でばかりあること等ということは有り得ないのです。
生命保険も、普及する当初は「死んだときや病気・怪我になったときのことを前提に準備するのは縁起が悪い」等と敬遠されていましたが、今となっては、万が一の場合に備えることは当然という風潮が生まれつつあります。
よって、これから将来、「婚前契約」が当たり前になる日が来る可能性も充分にあるかと思います。
これから予期しない事態が発生することは、長い夫婦生活の中でいえば、かえって当たり前の事かも知れません。
改めて、口に出して言いづらいこと、遠慮しがちなことを、きちんと取り決めしておくことで、きちんと話し合うきっかけが作れます。
また、結婚への不安について、大きな「安心」を与え、問題解決のための大切安ツールになることもあります。
なかなか、パートナーに結婚契約書(婚前契約祖)の話を切り出すことが出来ないという方が多いと思いますが、もしも気になるようでしたら、ぜひ一度、お気軽にご相談下さい。
夫婦間であっても、公序良俗に反しない限り、原則として、自由に契約を取り交わすことは可能です。
当然、戸籍上の届出を出さない「事実婚」や、法令上の整備がなされていない「同性婚」の場合もです。
●結婚をしようとする場合
●既婚だが取り決めしたい
●事実婚の合意をした場合
●再婚をしようとする場合
●同性間で事実婚する場合
なお、民法上、婚姻期間中に夫婦間で取り交わした契約は、原則として、いつでも、どちらか一方から、これを取り消すことが出来ると定められております。
民法754条(夫婦間の契約の取消権) | |
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夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。 |
もっとも、判例上、友好な夫婦関係が破綻に瀕した以降においては、もはや取り消すことは出来ないとされております。
(最高裁 昭和42年2月2日判決)
夫婦間の財産上の問題に関する取り決めについては、民法上は、唯一、結婚前に行う「夫婦財産契約」という制度のみが想定されています。
民法755条(夫婦の財産関係) | |
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夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。 | |
民法756条(夫婦財産契約の対抗要件) | |
夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。 |
夫婦財産契約の概要 | |
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(1) | 婚姻の届出をする前に契約を締結しなければならない (民法755条) |
(2) | 契約内容を登記しなければ、承継人や第三者に対抗することが出来ない (民法756条) |
(3) | 原則として、結婚後には契約内容を変更することが出来ない (民法758条) |
※注意事項
結婚契約書そのものは、双方の希望に応じて比較的、自由に内容を取り決めることが可能です。
ただし、必ずしも法的に強制力が保証されるものではありません。
公正証書として作成する場合、定められる内容には一定の制限があります。
また、公証人によっては、民法が定める「夫婦財産契約」でない婚前契約書作成そのものを拒否される場合があります。
生まれや育った環境の違う2人が、今後終生にわたって共に協力し合って暮らしていこうと誓いをたてた場合、共同生活における財産や収入の管理、家事や育児の分担、両親の同居や介護の問題など、様々な不安点や、将来的にトラブルになる虞がある事項について、事前に話し合い、一定の取り決めを定めておくことは、大切なことです。
もちろん、夫婦間で取り交わした契約書が、かえって円満な夫婦関係の足かせとなってしまったり、約束違反などによる喧嘩の火種となってしまっては本末転倒です。
結婚契約の公正証書というものは、あくまで結婚における誓いを具現化し、将来生じる可能性があるトラブルを予防する、ということが目的です。
よって、作成するにあたっては、定める内容について、細心の注意が必要です。